それは葉桜となった桜の最後の一片が、流れゆく世界と事象に対し、最後の抵抗を試みている時節のことだった。……余計な修飾を除いて表現するならば、四月の第二週辺りに換算され得る時である。
 四月。年度始め。進学、入社、クラス替え、人事異動。世に曰く、知己が更新され生活環境が変更されるという、一種の世界改変のタイミングであるらしい。桜舞い散る出会いと別れ、という奴だ――とはいえ俺は、どうやらその例外であるらしい。今の立場となってより、今年度で三年目。特に何が変わるということもなく、特に何かを変えようということもない、ごく当たり前でありふれた、何の変哲も意味もない、四月第二週のことだった。
 予想していたよりも早く仕事を終わらせた俺は、一日の予定が崩されたことによる困惑と、それを遙かに超越する解放感のもとに、あくまで無目的に(そう、無目的にだ)夕暮れの中を彷徨っていた。仕事柄、繁茂期である三月を終わらせた今の時期、確かにまあ、「暇な」という形容詞を冠することは出来るだろう。だがそれでも、まだ春の半ばと呼び得る季節ではある。暗くなる前に業務を終えられるというのは、そう頻繁にあることでなどない。
 この時間を有効活用しなくてはならない、という強迫観念。さりとて、何か為すべきことがあるわけでもない、という状況。その帰結として発生したものが、即ちこの未練めいたうろつきというわけである。
 さて、ところでその時の俺の手中には、アメリカンドッグと缶コーヒーが握られていた筈だ。俺はフライドフーズを時折齧り、それに少し劣る頻度で缶コーヒーを口に運びながら、暮れなずむ世界を観測し、そして家の近辺を彷徨い歩いていたのであった。
 コンビニ売りの惣菜は、年々美味くなっているようだ――それと同時に、年々高くなっているようでもある。これも時代の趨勢か、などと、分かったような分かっていないような、実際何の意味もない呟きは、心の中でだけ漏らす。
 ざわざわ、と。
 風が世界を揺らす音を聞いた。
 ふと気が付けば、俺は、いわゆるところの自然公園へと歩を進めていたことを知覚した。ぼんやりと足を進めていた、無意識に道行をしていた――そういう体験それそのものは、この人生でも決して少なくないものではある(何とまあ、ぼんやりとした人生だ)。しかしそれでも顔を上げ、眼を見開けば、生い茂り夕陽を滲ませる木々や、濁った水を湛えた堀を眼前に見出したという事実には、ある種の精神的な目眩を感得せざるを得ない、というものだ。ともあれ俺は、公園に入ったのだから自販機とごみ箱が見つかるだろうと思い至り(アメリカンドッグの串とコーヒー缶を廃棄しようと目論んだのだ)、夕焼けが染みた木漏れ日の領域へと、緩慢な歩を進めたというわけである。
 さて。
 当然というべきか、目的物は恙なく見付かった。公園に入ったのだから、自販機とごみ箱が見つかるだろう――それはもう、その通り。記憶領域に残っていた通り、そこには飲料の自動販売機と、それに付随した屑籠が存在していた。
 だが、しかし。
 それと同時に、俺はドミノ倒しになった自転車の群塊をも発見してしまったのである。人気のない公園の一角に、杭とロープからなる原始的な自転車置き場が設置されている。そしてそこで、不注意な(或いは、悪意を持った)誰かが蹴飛ばしたのだろうか、転倒した自転車群が、虚しく空を睨み据えていたという次第なのだった。
 俺がそれを目にした瞬間、まず感じたのは――そう、何とも言えぬ哀愁というべきものだった。蹴倒された自転車の多数は、まともに整備されていない代物であることが明白である。赤錆の浮いたフレーム。朽ち破れた籠。緩み切り、重力に逆らうことを放棄しかかっているチェーン。奥に行けば行くほど、綻びの度合いは酷くなる。
 色々と、理屈は考えられはする。きっとこの駐輪場自体は、放置自転車置き場というか、言ってしまえば、ごみ置き場のように扱われていたのだろう。勿論、そのような目的で造営された施設でなどありはしない。自然に、いつしか、そのようにされていったのだ。そしてそのまま、回帰の機会を得なかったのだ。
 頼むよすがを喪失した自転車が、ここで安寧の裡に永遠の休息に就いている。いつからここにあるのだろう。いつまでここにあるのだろう――それは多分、公園管理者の通報を受けた公務員が、引き取りに来るまでの間であろう。
 何時になるのかは、知らないが。
 何時かあるのかも、知らないが。
 哀愁。なるほど、哀愁じみた境遇だ。彼等もかつては誰かの足として、アスファルトを削り土を巻き上げ、空気を裂いて走っていたのだろうか?
 俺は、何とはなしに溜息を吐く。
 何にせよ、何はともあれ、何はなくとも、これは無意味な感傷である。公園の片隅に、ドミノ倒しにされた自転車が、顧みられず蹲っている。事実は唯、それだけのことなのだ。俺は、生温く緩やかな微風が葉桜を揺らす音を聞きながら、暫し無目的に佇んでいた。あたかも、自転車の群、そのうちの一台と化したが如く。時間が流れ、空間が流れ去る。
 誰もいない。
 ベンチに座って池を眺める定型若者カップルもいなければ、誰の為でもなく汗を流して走り込む運動部員もいない。ほんの一週間前までは肉焼く煙が空を支配し、犇く人々が埋め尽くしていたこの園内も、今は唯、夕刻の静寂の中に置き去りにされている。まあ実際、誰もいないということはない筈なのだが、少なくとも、視界の範囲内には見当たらないようである。或いはこのエリアに人気が無いだけなのかも知れないし、それとも単に、今日は偶然人気がないというだけのことなのかも知れない。まあ、どうだっていいことだ。
 俺は長く息を吐き出し、コーヒー缶をごみ箱に投げ込んで、それから中腰になり、一番端の転倒自転車のハンドルに手を掛けた。
 夏目漱石を気取ろうというのでもないが、どうにも生き辛い世の中ではある。稀なボランティア精神を発揮してみれば、褒められたいのかと、目立ちたいのかと、奇異と嘲笑と憎悪の眼で監視され、やがては直に糾弾される。別に、そんな崇高な目的や、達成すべき目標のもとに行っているのではないのだ。単に、自転車が倒れていたから起こすのが自然だという、ただそれだけのことなのだ――などと、勿論、そんな面倒な言い訳を、いちいち準備する必要はない。そもそも別に、糾弾されなどすることはない。思考回路の暇に任せた、ただの無意義な妄想である。ぼんやりと流れ去る思考のほんの一部に、そんなどうでもいい事柄を浮かび上がらせつつ、俺は自転車を立ててゆく。
 引き起こす。立てる。スタンドを起こす。スタンドロックを掛ける。それを、三度繰り返す。
 恐らく自転車群は二十台程だから、恐らく、あと十七回程度の同一作業を必要とする。何とも地味な作業であり、何とも郷愁を誘う音響を伴った作業だ。
 機械じみて単純作業を繰り返す肉体は、この短時間の内でさえも一つの動作を慣例として取り込み咀嚼し、意識することのない、言うなれば一種の不随意運動としての方法を確定させる。四台目、五台目。六台目。そしてやがてはそのことすらも意識して、つまり無意識から脱却し、俺は自分が全体作業の約半分を終えたことを認識した。がしゃん。恐らくは十台目のスタンドロックを蹴飛ばして掛け、――そしてそのとき、眼を射る圧倒的で荘厳な、それでいて何処か濁ったオレンジ色を知覚した。
 瞬間、眼が眩んだ。
 何に、だろう。
 文字通り、夕陽の橙色が網膜を侵し、余りに強く意識に焼き付き、それが原因で眩暈を覚えたのかも知れない。或いは何らかの精神的状態が作用して、思考停止を発生させたのかも知れない。だが何にせよ、物理世界は物理世界として進むようにしか進まないし、そして進まないようには進まないのだ。俺は何をやっているのだろう? 何故やっているのだろう? たとえその問いに回答があったとしても、そんなこととは関係無く事象は動き、世界は進む。
 そのような事柄を思考に乗せて、考察するでもなく流し遣りながら、俺は十一台目の自転車の、泥に濡れたハンドルを握り、そして力を込めた。
 そこで、聞いた。
「あの」
 聞こえた、のだ。
「お手伝い、しましょうか」
 俺は。
 その一瞬――柔らかで軽やかな声を聞いた一瞬、俺は、何も考えてはいなかった。聞こえたものを聞こえたままに聞いた。その他には、何も意識などしていなかったのだ。いや、一つだけ――ただ、風を思っていた。詩的な表現が許されるのならば、心の中に吹く風という奴を。
 一秒の後に自覚した事には、それは物理的事象でもあったらしい。実際に風が吹き、夕刻の陽に暖められた空気が体を撫でた。振り向いてみれば、花弁の一片が枝を離れ、逆光のシルエットと化し、少女の体を掠めて去って行くのが視認出来た。
 少女。
 濃紺のジャケットと、同色のプリーツスカート――いわゆる学校制服、またいわゆる冬服を着た彼女は、恐らくは通学鞄であろう小さなエナメルバッグを抱き締めるようにして、一種呆けたような表情で――何故声を掛けたのだろうと、自分でも不思議がっているような表情で、俺を見ていた。
 俺は自転車のハンドルを離し(実際の所、その瞬間には俺が何を握っており、何を手放したのかなど、意識する余裕はなかった)、俺に声を掛けた少女の方へと体を向ける。
 今一度風が吹き、彼女の髪がふわりと揺れた。それは夕陽を反射して輝いていた。
 風が、金色をしているように錯覚した。

「ふう。お疲れ様です」
「ああ。お疲れ様」
 最後の自転車を起立させて(ちなみに二十二台目であった)、一息吐いた俺と少女は、改めて向かい合い、互いの顔をまじまじと見つめ合っていた。
 こうして具に観察してみると、少女の制服が妙に堅く張り詰めているのを認識し、言うなれば「着られている」ような様子を感得し、そこから俺は「この少女は、高等学校に入学したばかりなのだ」と理解する。今日の暦は四月の第二週であり、高校の始業式が四月第一週である事を考慮に含めれば、その見方にある程度の正当性がある事も明らかになるというものだ。
 彼女は高校に入学したてであって、所属すべき部活動を見出せぬ暇に飽かして、或いは中学生時代の習慣に従って、また或いはただ何となく、下校の途上にこの公園を訪れた。今現在知り得る情報から少女のパーソナルを探ろうと思えば、大凡このようになるだろう。
 しかし、ともあれ。
 目の前の少女が入学したばかりの高校一年生であるとして、部活動に所属していないのだとして、そして現代日本においては類稀なるボランティア精神を発揮して、見知らぬ誰かが転倒自転車の群と格闘している現場に加勢し、助力し、共に作業を完遂したのだとして。
 その暁に待つものは、一時結ばれた共闘関係の解除でしかなく、つまるところは「手伝ってくれてありがとう」「いえいえ。どういたしまして」という如きの言葉を交わし合い、別れ、それぞれの日常に回帰するのが常識というものだろう。故に俺もそのメソッドに従って、感謝の言葉を口にしかけた。
 そして、阻止された。
「えっと、あの」
 何らかの決意を内包した表情で、彼女は俺に話しかけてきた。
「どうした」
 少女は、一呼吸を置いた――息を吸って、吐く。そして言う。
「少し、お話しませんか?」
 予想外。
 その予想外の返答に、俺は出鼻を挫かれたと言うべきか、当惑させられたというべきか、回答すべきタイミングを一瞬外してしまい、そしてその結果として「構わないが」と、流されるまま、肯いの台詞を発してしまっていたのであった。
 とはいえ、まあ、肯定する理由がないのと同程度に、否定する理由もありはしない。そしてこの河に棹差し下り行くのだとしても、そう遠い、おかしな場所に辿り着くことはない筈だ。……などと、意味不明な理屈で己を納得させる必要もないのだが。
「ありがとうございますっ。そこのベンチで良いですか?」
「ああ」
 彼女は小さく駆け出すように歩を進め、くるりとプリーツスカートを翻して向き直り、はやくはやくと催促するように手招きをする。何とも無邪気な様子で感情を表現するものだと、俺はその様子を困惑のうちに見遣る。
 だがまあ、いつまでもぼんやりしている理由はないし、必要もない。こうして一間の対話、歓談が発生するというのならば、年長の俺が飲み物ぐらい用意するのが常道というものだろう。俺は、
「少し待ってくれ」
 と言い置いてから、財布の小銭を確かめた。
 百円玉が二枚、十円玉が四枚。合計二百四十円。
 百二十円の缶飲料にして、二本分。
 一瞬の後、己が何やらしかめ面の様なものを浮かべているのを自覚して、俺は小さくかぶりを振った。ただの、偶然だ。
「どうしました?」
「コーヒーでもと思ってな。奢るが」
 自販機に足を向ける俺にとてとてと歩み寄って来た少女に(何処となく『これはジャックの建てた家』を想起する表現である)財布を掲げて示しつつ、「百二十円までではあるが」と、補足しておく。
「ん……」
 足を止めて、暫し返答を淀ませる少女。それがコーヒーという言葉に対してのものか、奢られるという事象に対してのものかは分からないが、ほんの数秒の後には、はにかむように言ったのだった。
「じゃあ、ごちそうになろうと思います」
「うむ」
 俺は百円玉と十円玉二枚をスリットに入れ、碌に見もせずボタンを押した。取り敢えず黒い小型缶を選んでおけば、概ねのところにおいて、それは無糖のブラックコーヒーなのだろうという、常日頃の購買意識(或いは無意識)に従った行動である。そしてそれは期待を外れず、小さな唸り声を夕刻の世界に刻み続ける自動販売機に、ジョージアのブラックコーヒーを吐き出させるという事象に帰結した。
 少女が言う。微かな驚きと、仄かな愉快さを共に宿した声音を以て。
「おお。ぶらっくこーひー」
「ああ。好みだからな」
「でも、ふふ。あなた、見ずに選びましたね」
 鋭く目聡く、俺の退廃的行為を指摘してくる。そのお陰で、俺は一度、「無糖ブラックコーヒーだと思って買った飲料が、実は加糖のものであったことがある」という事実を思い出した。それを少女に伝えようとし、だが棄却した。初対面である相手に対し、己が心に宿すセンチメンタルなるものを、敢えて告げ伝えることもなかろう。
「まあな。……それで、君は」
 俺は財布の中に残った小銭、即ち百円玉一つと十円玉二つを自動販売機のスリットに差し込みながら、何やらほくほくとした表情でいる少女に言った。
「何を選ぶ」
「あー、こほん。……ええと、奢りとあらば、私は、えー……」
 夕焼けが厳かに照らし、立つ者の影を可笑しい程に引き伸ばす景色のあわい、彼女は機械の無機質な光の中で、暫し迷っているようだった。たかが、人ならぬ自動販売機を対象とした購買行動において、何を懊悩することがあるというのか。或いはもしくは、「コーヒーでもと思ってな」と、俺が先程言の葉に乗せた内実に、縛られているとでもいうのだろうか。
 俺は、彼女に言い掛けた。別に、コーヒーでなくとも構いはしない、と。だがその直前に、彼女はボタンを押していた。
 機械がごとごとと音を立て、ごとんと吐き出したそれは。
「ブラックコーヒー、か」
 えへへ、と少女は照れの様子を見せた。少し笑って、こう言ったのだ。
「はい。……恥ずかしながら、飲んだことがなかったので。何と言いますか、まあ、こんな機会ですから」
「そうか」
 ……その笑顔なるものに、俺の意識は何かしらの感慨なるものを認識せざるを得なかった。だがこの時は、何でもないことのように流した。そこにある意味を俺が正しく知ることが出来るのは、これより随分長い時間が経過した後になる。

 俺と少女は二人並んで、池に面する木製のベンチに座した。人一人分程の間隙を空け、暫し黙然の時を過ごした。深緑色の水面に空の橙色が映え、微風に生まれた波頭を金色に輝かせていた。
 相も変わらず、他には誰の姿も見えはしない。梢がざわざわと揺れている。公園の外周、堀の外に広がる夕暮れの街からは、間なく行き交う車の走行音が耳へと届く。――今この世界に存在する音と言えば、ただその程度のものだった。
 所在なくコーヒーの缶を弄んでいた彼女が、やがて意を決したように言った。
「えっと。いただきます」
「うむ」
 つられて俺も、プルタブを起こす。少女と眼が合う。やや遠慮があるのだろうか、どうやら俺が先に口を付けるのを待っているのであるらしい。……ごく当たり前の日常生活のあわいにおいて、缶飲料を喫する場面を他者に観察される、という機会はそうはない。少しの惑いを感得しつつ、だが俺は、苦味とカフェインを脳に齎す褐色の液体を嚥下した。当然のことではあるのだが、それは何時も通りの缶コーヒーの味をしていた。
 少女に小さく身振りしてみる。どうぞ、と。
「……ん」
 彼女は改めて両手で握ったコーヒーの黒い缶を見、俺を見、そしてその後、ぐいと一気に傾けた。彼女という一人の人間が、その人生の道行の中で、初めて味わうことになるブラックコーヒー。それにどういう感想を持つのかは、想像に難くない。彼女の顔に、この後どのような表情が浮かぶだろうかということも。――最初に口にしたその日から、無糖のブラックコーヒーを楽しむことが出来る者など、恐らくこの世界には存在しないだろう。
「……えー、と」
 案の定、少女は何かを問うかのような、何かを噛み殺しているかのような、何かに焦燥しているかのような、また或いは、何か哲学的疑念に突き当たった求道者のような顔をして、俺を見ていた。見詰めていた。見据えていた。
「あー……、これは、その……」
「うむ」
「そう。味わいが、ありますよね。――大丈夫です。分かります、ええ、分かっちゃいますから、私」
 必死だった。
 小さく噴き出しそうになった。だが俺はそれを堪えた。礼を失しているからである。
「無理をする必要はない」
「……はい、ごめんなさい。苦いです。ただもうひたすら、苦いです」
「だろうな」
 それから一間の時間を置かず、彼女の方が噴き出した。それを目にして、此度は俺も堪え切ることは出来なかった。二人で笑った。夕焼け空の下で笑った。笑い合った。
 ……後から顧みてもみれば、そこに展開していたものは、何とシュール性に満ちた空間であっただろう。大の男と年端も行かぬ少女がベンチに座り、各々コーヒー缶を手に持って、二者以外には誰も存在していない空間で、初対面の顔を見合わせ笑っているのだ。これを妙だと思わずに、何を妙だと言えるだろうか。
 だがその瞬間、俺は確かに笑っていた。彼女も確かに笑っていた。二人で笑いを、歓楽の念を共有していた。それは確かな真実だった。この場に実際存在しているところの、紛うことなき違うことなき、余人の邪魔など入る余地なき、ただ二人きりの真実だった。


 続く
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